バスケットボールの試合を見たり、実際にプレーしている中で、「ラインを踏んだ」「ラインを越えた」などの言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
コートにはたくさんの白線が引かれていますが、それぞれに明確な意味やルールがあることをご存知でしょうか?
特に初心者やミニバスを始めたばかりの子どもたち、あるいは保護者の方にとっても、ラインの役割を理解しておくとルールの把握がしやすくなります。
今回は、バスケコートに引かれている「ライン」に注目し、その種類・役割・ルール上の違いについて詳しくご紹介していきます。
バスケコートに引かれている主なライン一覧
バスケットボールのコートには、さまざまな白いラインが引かれています。
見た目にはわかりにくいかもしれませんが、それぞれがルールと密接に関係しており、試合中の判定やプレーの進行において欠かせない役割を持っています。
まずは、どんなラインがあるのかを一覧で見てみましょう。
- エンドライン(ベースライン):コートの短辺にあたるラインで、アウトオブバウンズの基準になります。
- サイドライン:コートの長辺にあたるラインで、こちらもボールが出たかどうかの判定に使用されます。
- センターライン:コートを縦に半分に分けるラインで、攻守交代時の基準にもなります。
- スリーポイントライン:このラインの外からシュートを決めると3点となります。
- フリースローライン:ファウルを受けた際にシュートを打つ位置を示すラインです。
- 制限区域ライン(ペイントエリア):ゴール下のエリアで、3秒ルールやリバウンドポジションに関わります。
- ノーチャージセミサークル:この半円内では、ディフェンスがいてもオフェンスのチャージングが取られません。
それぞれのラインは、コートの「目印」であると同時に、ルールや戦術のカギにもなっているのです。
各ラインの役割とルール上の意味
それぞれのラインには、試合中の反則や得点に直接関わる意味が含まれています。
ここでは、代表的な6つのラインについて、どんな場面で使われ、どのようなルールに関係しているのかを解説していきます。
エンドライン・サイドライン
どちらも「アウトオブバウンズ(コート外)」の基準になるラインです。
プレイヤーがこのラインを踏んだり、ボールがラインを完全に越えたりすると、ボールは相手チームに渡ります。
インバウンド(スローイン)時にもこのラインを基準にして行います。
センターライン
攻守が切り替わった後、オフェンスは8秒以内にこのセンターラインを越える必要があります。
また、センターラインを越えた後にバックコート(自陣)に戻ると「バックコートバイオレーション」となり、これも相手ボールとなります。
スリーポイントライン
このラインの外から放たれたシュートが成功すると3点になります。ラインを踏んでいると2点扱いになるため、足元にも注意が必要です。
コーナー(0度)では距離がやや短くなるため、狙いやすいスポットとも言われています。
フリースローライン
個人ファウルやチームファウルが重なった際に、選手がこのラインの後方からフリースローを打ちます。
シューター以外の選手は、ラインに触れず、かつサークルを踏まないように注意が必要です。
制限区域ライン
このエリアには「3秒ルール」が適用されます。
オフェンスの選手は、この制限区域内に3秒以上とどまってはいけません。攻防の要ともなる重要なスペースです。
ノーチャージセミサークル
ゴール真下に描かれた半円のエリアです。
この中でディフェンスが静止していても、オフェンスがぶつかった場合にはチャージングが取られません。接触プレー時の重要な判定基準となります。
ラインに触れたらどうなる?
バスケットボールでは、ボールや選手の位置を正しく判定するために「ライン」が重要な基準になります。
ラインに触れる、または越えてしまうと、たとえほんの少しでもルール違反(バイオレーション)と判定されることがあります。
ここでは、主なシーン別に「どのラインに触れるとどうなるのか?」を詳しくご紹介します。
サイドライン・エンドラインに触れた場合
ボール保持者がサイドラインやエンドラインを踏んだ時点でアウト・オブ・バウンズ(コート外)と判定されます。
また、ボール自体がラインに接地した場合や、空中であってもボールを持った選手の足がラインにかかっている場合もアウトになります。
この場合は、相手チームにスローインの権利が移ります。
インバウンド(スローイン)のときにラインを踏んだら?
スローイン時、スローインを行う選手の両足はコート外に出ている必要があります。
このとき、片足でもラインを踏んでしまうと反則となり、スローインの権利を失います。
また、スローイン中にボールがラインに触れるようにバウンドさせた場合もアウトになります。
スリーポイントラインに関する注意点
3ポイントを狙う際、ラインを踏んでシュートしてしまうと、たとえ距離的には3Pラインの外側であっても2点としてカウントされます。
ボールを離す瞬間にラインを踏んでいない状態であれば3点になりますが、つま先が触れていた場合はNG。
そのため、正確なフットワークと足元の感覚が求められる場面です。
フリースローラインに触れたら?
フリースローを打った選手は、ボールがリングやボードに触れる前にラインを踏むと反則になります(バイオレーション)。
この場合、シュートは無効となり、相手チームのボールになることがあります(状況による)。
また、リバウンドに入る選手もフリースローサークルを早く踏み出すと反則になるので注意が必要です。
バックコートバイオレーションとライン
攻撃側チームがセンターラインを越えてボールを前に運んだあと、再びセンターラインを越えて自陣に戻ると「バックコートバイオレーション」になります。
このとき、センターラインも「ラインに触れたかどうか」が判断の基準になります。
ジャンプシュートやリバウンド時の空中プレー
選手が空中でボールをキャッチしたとしても、着地したときにラインを踏んでいればアウト。
逆に、ライン外からジャンプして空中でボールをインバウンドに戻した場合は、足がラインの内側に着く前であればセーフになります。
このように、足元の位置だけでなくタイミングも重要です。
ミニバス・中学・高校・プロでラインの規格は違う?
実は、バスケットボールのコートサイズやラインの位置・距離は、年齢や大会のレベルによって異なる場合があります。
ミニバスでは3ポイントラインが存在しなかったり、フリースローラインの位置が近く設定されていたりと、身体の成長段階に合わせた配慮がなされています。
ここでは、ミニバスからプロレベルまでのラインの違いを比較しながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。
ライン項目 | ミニバス | 中学・高校 | プロ(FIBA) |
---|---|---|---|
フリースローライン | 4.85m | 5.8m | 5.8m |
フリースローサークル半径 | 1.8m | 1.8m | 1.8m |
制限区域の形 | 台形 | 長方形 | 長方形 |
3ポイントライン | なし | 6.75m | 6.75m |
ノーチャージエリア | なし | 一部あり | あり |
コートサイズについて、もっと詳しく知りたい方は「バスケットのコートサイズはこれさえ知っておけば間違いない」をご覧ください。
まとめ
バスケのコートに引かれているラインは、ただの白い線ではなく、ルールやプレーの判断基準として重要な役割を果たしています。
エンドラインやサイドラインはアウトの基準になり、センターラインは攻守の切り替え、3ポイントラインは得点の価値に影響するなど、それぞれが明確な意味を持っています。
また、ラインに触れた瞬間に反則が成立する場面も多いため、選手にとっては足元の意識が非常に重要になります。
さらに、ミニバスや中高生、プロのカテゴリによってラインの位置やルールに違いがあることも理解しておきたいポイントです。
試合を観戦する際や、自分でプレーする際にも、ラインの意味やルールを意識することで、バスケがより深く、楽しく感じられるはずです。