バスケットボールの試合を見ていると、「ダブルダブルを記録!」というアナウンスや解説を耳にすることがあります。
なんとなく「すごい活躍」という印象はあるものの、具体的に何を意味しているのか、どんな記録が該当するのかは知らないという方も多いのではないでしょうか。
バスケにおける「ダブルダブル」は、選手の攻守両面での活躍を表す、非常に重要なスタッツ(記録)のひとつです。
数字としてはシンプルでも、その裏には高いパフォーマンスとチームへの大きな貢献が隠れています。
今回は、ダブルダブルの定義や対象となる記録の種類、達成する選手の傾向、さらにトリプルダブルとの違いや記録が持つ意味まで、わかりやすく解説していきます。
バスケで言う「ダブルダブル」とは?
バスケットボールの試合やニュースでよく耳にする「ダブルダブル」という言葉。
これは選手の活躍を示すスタッツ(記録)のひとつであり、特にプロレベルの試合で注目されやすい項目です。
「ダブルダブル」とは、1試合で2つの主要なスタッツ項目において、それぞれ2桁(=10以上)を記録することを指します。
例えば、「得点10点・リバウンド12本」や「アシスト10本・スティール10本」などが該当します。
バスケでは得点だけでなく、さまざまな面で貢献することが評価されるため、この記録は選手の万能性や安定感を示す重要な指標となっています。
チームにとっても、ダブルダブルを記録する選手がいることで試合展開に厚みが増し、勝利に近づく可能性が高くなります。
ダブルダブルの対象となる5つのスタッツ
ダブルダブルの判定に使われるのは、主に「得点・リバウンド・アシスト・スティール・ブロック」の5つのスタッツです。
これらは試合中に選手の働きを具体的に数値化できる代表的な指標であり、それぞれに異なる役割と重要性があります。
得点(Points)
得点はバスケットボールの基本中の基本であり、最も注目されるスタッツのひとつです。
1試合で10得点以上を記録すれば、まず1つ目の「二桁条件」を満たしたことになります。
多くの選手はこの「得点」を軸に、もう一つのスタッツ(リバウンドやアシストなど)と組み合わせてダブルダブルを達成します。
特に得点力のあるガードやフォワードの選手は、ダブルダブルの常連になりやすい傾向があります。
リバウンド(Rebounds)
リバウンドとは、シュートが外れた後のボールを取るプレーで、「オフェンスリバウンド」と「ディフェンスリバウンド」に分かれます。
10本以上リバウンドを記録することも、ダブルダブルのよくある達成パターンです。
ゴール下での激しい競り合いが必要となるため、身長やジャンプ力、ポジショニングの技術が問われる項目です。
センターやパワーフォワードといったインサイドの選手が稼ぎやすいスタッツでもあります。
アシスト(Assists)
アシストは、味方選手の得点につながるパスを出した回数を指します。
チームプレーを象徴するスタッツであり、特にガードポジションの選手が得意とする分野です。
視野の広さやタイミングの読み、冷静な判断力が求められ、10アシスト以上を記録すればチームのオフェンスを大きく支えた証とも言えます。
スティール(Steals)
スティールとは、相手のドリブルやパスをインターセプトすることでボールを奪うプレーです。
素早い反応や読みの鋭さが必要で、主に守備力に優れたガードやウイングの選手が多く記録します。
スティールで二桁に届くことはそれほど頻繁ではありませんが、記録されると非常に評価の高い貢献となります。
ブロック(Blocks)
ブロックは、相手のシュートを空中で防ぐプレーであり、特に身長やタイミングに優れた選手が多く記録します。
リムプロテクターと呼ばれる守備の要の選手が、このスタッツで存在感を示す場面が多く見られます。
ブロックもまたスティール同様、10本以上を記録することは珍しいですが、達成すれば非常にインパクトのある数字となります。
どんな組み合わせが多い?実例から見るダブルダブルの傾向
ダブルダブルの達成にはさまざまな組み合わせがありますが、その中でも特に多く見られるのが「得点+リバウンド」「得点+アシスト」です。
この2パターンは、試合中に多くの選手が自然に関わる要素であり、組み合わせとして現れやすい特性を持っています。
ポジション別の傾向
ポジションによって傾向があるのでしょうか。
- インサイドの選手(C・PF)は、「得点+リバウンド」が多い
→ ゴール下での得点やリバウンドの機会が豊富なため、試合中に自然と達成しやすくなります。
- ガードの選手(PG・SG)は、「得点+アシスト」タイプが多い
→ ボールを多く持ち、パスやドライブで得点機会を演出するため、二桁記録に届きやすい傾向があります。
- オールラウンダー型の選手(SFなど)は、どのスタッツにもバランス良く関与
→ 「得点+リバウンド」や「アシスト+リバウンド」なども見られます。
実例を通じて注目される記録
NBAでは、ヤニス・アデトクンボやニコラ・ヨキッチ、ドマンタス・サボニスといったビッグマンが高確率でダブルダブルを記録しています。
一方で、ルカ・ドンチッチやジェームズ・ハーデンなどは得点とアシストの組み合わせで頻繁に達成しており、スタイルやチーム戦術によっても傾向が異なることがわかります。
トリプルダブルとの違いとは?
「ダブルダブル」と並んでよく耳にする記録に「トリプルダブル」があります。
この2つはどちらも試合中に複数のスタッツで二桁を記録することを指しますが、その内容と達成の難易度には明確な違いがあります。
トリプルダブルは「3部門で二桁」を達成
トリプルダブルとは、1試合の中で3つのスタッツでそれぞれ10以上の記録を出すことを意味します。
例えば「得点・リバウンド・アシスト」がそれぞれ10以上となれば、トリプルダブル達成となります。
これに対してダブルダブルは、5つの主要スタッツの中から2つを二桁にすれば達成されます。
つまり、トリプルダブルは「ダブルダブルの上位互換」とも言える難易度の高い記録であり、達成する選手は限られます。
達成者の例とレアさの違い
NBAでは、ラッセル・ウェストブルックがシーズン平均でトリプルダブルを達成したことで話題になりましたが、これは非常に稀なケースです。
日本国内や高校・大学レベルでは、トリプルダブルの記録はほとんど見られません。
一方、ダブルダブルは毎試合のように記録されることもあり、優れた選手にとっては“日常的な活躍の証”として定着している記録です。
ダブルダブルを達成する選手の特徴とその価値
ダブルダブルは誰にでも簡単に記録できるものではありません。
この記録を継続して残せる選手には、プレーや役割に共通した特徴があり、それがチームにとっての大きな強みになります。
選手に見られる主な特徴
ダブルダブルを達成する選手の特徴は以下が考えられます。
- 長時間出場している:出場時間が長い選手ほどスタッツを積みやすく、試合への関与度も高くなります。
- 安定した役割を担っている:ポジションごとの仕事を確実にこなせる選手は、継続的に数字を残しやすい傾向にあります。
- 積極性と判断力を兼ね備えている:単なる体力だけでなく、試合状況を見極めたうえで行動できる選手は、複数部門での活躍が可能です。
記録の裏にあるチームへの貢献度
ダブルダブルは、選手がオフェンスやディフェンスの両面で大きく貢献していることを示す、非常に重要な記録です。
たとえば、
- 得点+リバウンド:自ら得点を重ねつつ、相手の攻撃を防ぎ、セカンドチャンスも作る
- 得点+アシスト:自分で得点するだけでなく、味方の得点機会も演出する
こうした数字は単なる結果ではなく、「試合の流れを変えるプレーをどれだけ生み出したか」という質的な評価にもつながります。
また、1試合だけでなくシーズンを通して複数回達成している選手は、「安定した活躍ができる」「戦術的に欠かせない存在」としてコーチやファンからの信頼も厚くなります。
つまり、ダブルダブルは見た目以上に選手の貢献度・信頼性・継続性を示す総合的な評価指標であり、バスケットボールにおける「優秀な選手」の証と言っても過言ではありません。
まとめ
「ダブルダブル」は、単に数字を並べただけの記録ではありません。
その背景には、選手が試合の中で果たした多様な役割や、チームへの大きな貢献が込められています。
得点力だけでなく、リバウンド、アシスト、守備面での活躍など、さまざまな側面で二桁のスタッツを残すことは、試合を支配するほどの影響力を持っている証です。
さらに、それを継続的に記録できる選手は、チームにとって欠かせない存在となります。
バスケ観戦においても、「この選手はどのスタッツでダブルダブルを達成するのか?」という視点を持つことで、より深く、より面白く試合を楽しむことができるはずです。