バスケットボールにはインテンショナルファウルというルールがありましたが、現在はアンスポーツマンライクファウルに名称が変更されています。
しかし、解説者やプレーヤーの間では、今でもインテンションという言葉が使われることがあります。
このルール変更によって、ファウルの判断基準がどのように変わったのか?
どんなプレーが対象になるのか?ここで、詳しく解説していきます。
インテンション(インテンショナルファウル)とは?
「インテンション(インテンショナルファウル)」という言葉を聞いたことはありますか?
昔のバスケットボールでは、故意に行われたファウルを「インテンショナルファウル」と呼んでいました。
しかし、1995年にルールが改定され、現在は 「アンスポーツマンライクファウル」という名称に統一されています。
では、この「インテンショナルファウル」とはどのようなものだったのでしょうか?また、現在のルールとはどう違うのでしょうか?
インテンショナルファウルの定義
インテンショナルファウル(Intentional Foul)とは、
➡ 相手のプレーを意図的に妨害するファウルのことを指します。
具体的には…
- 速攻を止めるために、相手のユニフォームを引っ張る
- ボールとは関係なく、相手を押したり妨害する
- ゴール下で故意にファウルし、相手の得点を防ぐ
など、試合の流れを意図的にコントロールしようとするファウルが該当していました。
なぜ「インテンショナルファウル」はなくなったのか?
1995年、FIBA(国際バスケットボール連盟)はルール改定を行い、インテンショナルファウルは「アンスポーツマンライクファウル」に名称変更 されました。
理由は主に2つあります。
「意図的なファウル」という基準が曖昧だった
「インテンショナル(故意)」という基準は、審判の判断に依存しすぎていた ため、試合ごとに判定がブレることがありました。
そこで、「意図的かどうか」ではなく、「スポーツマンシップに反するかどうか」で判定するルールに変更 されました。
危険なファウルへの対応を強化するため
インテンショナルファウルは単なる戦術的なファウルとして扱われることが多かったため、危険なファウルが増えてしまう懸念がありました。
そのため、「アンスポーツマンライクファウル」では、意図の有無に関係なく、危険なプレーに厳しい罰則が科されるようになりました。
インテンショナルファウルとアンスポーツマンライクファウルの違い
インテンショナルファウルは「意図」に重点を置いていたが、現在のアンスポーツマンライクファウルは「スポーツマンシップと危険性」に重点を置くルールへと進化しました。
項目 | インテンショナルファウル(旧ルール) | アンスポーツマンライクファウル(現ルール) |
---|---|---|
基準 | 故意に相手を妨害したかどうか | スポーツマンシップに反するかどうか |
判定のポイント | 「意図的にやったかどうか」 | 「危険なプレーかどうか」「試合の流れを不当に変えようとしたか」 |
罰則 | フリースロー2本 + 相手ボール | フリースロー2本 + 相手ボール(同じ) |
退場の条件 | なし(1回のファウルのみ) | 2回宣告で退場 |
「インテンション」という言葉は現在も使われる?
現在、公式ルールでは「インテンショナルファウル」という言葉は使われていません。
しかし、バスケットボールの試合解説や、昔のルールを知っている人の間では、今でも 「インテンション」=アンスポーツマンライクファウルとして使われることがあります。
例えば…
- 「今のプレーはインテンションだろ!」
- 「インテンションが取られて、フリースロー2本になった」
このように、昔のルールを知っている人が、現在のアンスポーツマンライクファウルのことを「インテンション」と呼ぶことがある のです。
インテンショナルファウルは戦術として使われていた?
かつてのインテンショナルファウルは、一種の戦術として活用されることがありました。
ファウルゲームとして使われる
試合終盤、負けているチームが 故意にファウルをして時間を止め、相手のフリースローを狙うという戦略は、今でもよく使われます。
しかし、現在のアンスポーツマンライクファウルのルールでは、ファウルの内容によっては「戦術的なファウル」も厳しく判定される場合があるため、より慎重な判断が必要になりました。
速攻を防ぐ手段としてのファウル
相手が速攻に出たとき、無理にシュートされるよりも、ファウルしてフリースローを打たせた方が得策と考えられることがあった。
しかし、現在のルールでは、速攻時にボールを持っていない選手へ故意にファウルをする場合、アンスポーツマンライクファウルが適用される可能性が高い です。
どんなプレーがアンスポーツマンライクファウルになるのか?
現在のルールでは、「意図的にやったかどうか」ではなく、「プレーの内容がスポーツマンシップに反するかどうか」でファウルが判定されます。
では、どのようなプレーが「アンスポーツマンライクファウル」として適用されるのでしょうか?
適用されるプレーの例
適用されるプレーの例をいくつかあげます。
速攻を妨害するファウル
相手が速攻を仕掛けようとしているとき、背後からユニフォームを引っ張ったり、意図的に進路を妨害する行為 はアンスポーツマンライクファウルと判定される。
📌 例
✔ 相手がボールを持って速攻に入った瞬間、後ろから腕を掴んで止める
✔ ディフェンダーがボールをプレーするのではなく、相手の体を押して進路を塞ぐ
ボールと関係のないファウル
ボールを持っていない選手に対する不要な接触や妨害も対象 になる。
📌 例
✔ スクリーンをかけようとする選手を、明らかに意図的に押して妨害する
✔ リバウンドのポジション争いで、相手を背後から強く突き飛ばす
危険なプレー
シュート時にジャンプしている選手の下に入り込む、肘を振り回す、相手を過度に押し倒すなど、選手の安全を脅かす行為 は厳しく罰せられる。
📌 例
✔ 3Pシュートを打っている相手の着地スペースに入って、足を踏んでしまう
✔ ゴール下で、明らかに相手を跳ね飛ばすような激しいコンタクト
適用されないケース(通常のファウル扱い)
すべてのファウルがアンスポーツマンライクファウルになるわけではありません。
以下のようなプレーは通常のパーソナルファウルとして処理される ことが多いです。
📌 例
✔ 競り合いの中で発生した 偶発的な接触
✔ ボールを狙いにいったが、結果的にファウルになってしまったケース
✔ シュートを防ぐための 自然な守備で発生したコンタクト
ポイント:
「意図的かどうか」ではなく、「スポーツマンシップに反するかどうか」が重要!
ミニバス(U12カテゴリー)におけるアンスポーツマンライクファウルの扱い
ミニバスケットボール(U12カテゴリー)では、通常のバスケットボールと同様に「インテンショナルファウル」という名称は使用されず、「アンスポーツマンライクファウル」として処理されることになっています。
しかし、ミニバスでは成長段階の選手が多いため、審判の判断で通常のパーソナルファウルとして扱われることもあるのが特徴です。
ミニバスでのアンスポーツマンライクファウルの基準
ミニバスでは、選手のスキルやルールの理解度を考慮し、以下のような基準で判定されることが多くなります。
意図的なファウル(速攻の妨害など)
➡ アンスポーツマンライクファウルとして宣告
経験の浅い選手が偶発的に接触した場合
➡ 通常のパーソナルファウルとして処理
危険なプレー(ジャンプ中の選手に下から接触するなど)
➡ 必ずアンスポーツマンライクファウルとして適用
ポイント: ミニバスでは「故意かどうか」よりも、「プレーが危険かどうか」に重点が置かれる傾向があります。
ミニバスと一般カテゴリーのペナルティの違い
カテゴリー | 適用ルール | ペナルティ |
---|---|---|
一般(FIBAルール) | アンスポーツマンライクファウル | フリースロー2本 + 相手ボール |
ミニバス(JBA U12ルール) | 状況によりパーソナルファウルとして扱われることもある | フリースローなし or 1本 + 相手ボール(審判の判断による) |
ミニバスの試合における影響
ミニバスでは、アンスポーツマンライクファウルの適用は少なく、ファウルゲームとして使われることもほとんどありません。
また、子どもたちの成長を考慮し、審判が選手の意図を見極めながら柔軟に判定することが多いのが特徴です。
例えば、速攻の相手を止めるために意図的に接触した場合は、アンスポーツマンライクファウルとして処理されるのが一般的ですが、初心者の選手がルールを理解していないまま強く当たってしまった場合は、通常のパーソナルファウルとして処理されることもあります。
まとめ
かつてのインテンショナルファウルは、1995年に「アンスポーツマンライクファウル」に名称変更されました。
現在のルールでは、意図的にファウルをしたかどうかではなく、スポーツマンシップに反するかどうかやプレーの危険性が重視されるようになっています。
試合では、速攻の妨害や危険なプレーがアンスポーツマンライクファウルとして厳しく罰せられるため、ルールを理解したうえで適切なプレーを心がけることが重要です。