バスケットボールの試合で、コート上の司令塔とも呼ばれる「ポイントガード(PG)」は、チームの攻守をコントロールする重要なポジションです。
試合のペースを決め、攻撃を組み立て、時には自ら得点を狙うなど、多くの役割を担います。
しかし、「ポイントガードって具体的に何をするの?」「どんな能力が求められるの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、ポイントガードの役割、必要なスキル、プレースタイル、戦術的な動き方まで、初心者にも分かりやすく詳しく解説します。
ポイントガードとして成長したい人はもちろん、観戦をより深く楽しみたい人にとっても役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
ポイントガードとは?
バスケットボールには5つのポジションがありますが、その中でも 「司令塔」 としてチームの攻撃を指揮するのがポイントガード(PG)です。
ポイントガードの主な役割
ポイントガードは単なるボール運び役ではなく、試合の流れを左右する極めて重要なポジションです。
役割 | 説明 |
---|---|
試合のコントロール | ゲームのテンポを調整し、戦略的に攻撃を組み立てる |
ボール運びとパスの配給 | 正確なパスで味方の得点をサポートし、ターンオーバーを防ぐ |
スコアリング | 必要に応じてシュートを決め、得点力も発揮する |
ディフェンスの指揮 | 相手のPGをマークし、チームの守備を整理する |
なぜ「コート上の監督」と呼ばれるのか?
バスケットボールでは、監督(ヘッドコーチ)が試合中に細かく指示を出せる場面は限られます。
そのため、ポイントガードが状況を判断し、瞬時に最適なプレーを決める必要があります。
これが「コート上の監督」と呼ばれる理由です。
ポイントガードのプレースタイルと求められる能力
ポイントガード(PG)は、バスケットボールにおいて「司令塔」としてチームの攻撃を指揮する重要なポジションです。
試合の流れを読み、チームメイトの能力を最大限に引き出しながら、勝利に導く役割を担います。
ここでは、ポイントガードのプレースタイルの違いと、それぞれに求められる能力について詳しく解説します。
ポイントガードのプレースタイルは、大きく以下の4つに分類されます。
- フロアリーダー型(ゲームメイク重視)
- スコアリング型(得点力重視)
- ディフェンス型(守備特化)
- バランス型(オールラウンダー)
フロアリーダー型(ゲームメイク重視)
「伝統的なポイントガード」とも呼ばれ、試合をコントロールすることを最優先にするタイプです。
チームの司令塔として、パスで味方を活かしながら戦局を組み立てます。
特徴
- ボールコントロールが優れており、試合のテンポを決定する
- 的確なパスでアシストを量産し、味方の得点を支援
- 冷静な判断力でターンオーバーを抑える
スコアリング型(得点力重視)
自ら得点を取る能力に特化したポイントガード。
パスよりもシュートやドライブを積極的に狙い、得点源として活躍します。
特徴
- 高確率のシュート力を持つ(ミドルシュート、スリーポイント)
- ドライブでディフェンスを崩し、得点に結びつける
- クラッチタイム(試合終盤の重要な時間帯)に強い
ディフェンス型(守備特化)
ディフェンス力に特化し、相手のエースガードを封じ込める役割を担うポイントガード。
スティールやプレッシャーディフェンスが武器です。
特徴
- ボールプレッシャーをかけ、ターンオーバーを誘発
- スティール能力が高く、速攻の起点になれる
- 相手のオフェンスリズムを崩すディフェンス
バランス型(オールラウンダー)
ゲームメイク、得点、ディフェンスのすべてを高水準でこなせる万能型。
状況に応じて役割を変え、チームに貢献します。
特徴
- ゲームコントロールと得点力をバランスよく持つ
- 必要に応じてディフェンスでも貢献
- チームにとって最も頼れる存在
ポイントガードに求められる能力
プレースタイルによって求められるスキルは異なりますが、どのPGにも共通して必要な基本的能力があります。
ポイントガードに求められる能力は、以下のようなものがあります。
- コートビジョン
- ハンドリングスキル
- パス能力
- ゲームIQ
- シュート力
- ディフェンス力
コートビジョン(視野の広さ)
ポイントガードは「コート全体を見渡せる視野の広さ」が求められます。
味方の動きや相手のディフェンスの穴を瞬時に見つけ、適切なプレーを選択する力が重要です。
ハンドリングスキル
試合中、相手ディフェンスのプレッシャーを受けながらも正確なドリブルが求められます。
ターンオーバーを防ぎながら、プレーを組み立てる技術が必要です。
ハンドリング技術のポイント
- クロスオーバー(素早く左右にボールを切り替える)
- スピンムーブ(ディフェンダーをかわす回転ドリブル)
- ヘジテーション(一瞬の動きの止めで相手を惑わす)
パス能力
味方の得点機会を作るための正確なパスは必須スキル。
特に以下のパス技術が求められます。
主要なパス技術
- バウンスパス(地面にバウンドさせるパス)
- アリウープパス(ダンク用のパス)
- ノールックパス(相手の意表を突くパス)
ゲームIQ(判断力)
試合の流れを把握し、適切なプレーを選択する能力が必要です。
特に、試合終盤のクラッチタイムでは、冷静な判断力が試されます。
シュート力
近年のバスケットボールでは、ポイントガードにも高い得点力が求められるようになっています。
特に、スリーポイントシュートの精度は大きな武器になります。
ディフェンス力
相手のエースガードを守る役割も担うため、プレッシャーディフェンスやスティール能力が求められます。
ポイントガードの戦術と動き方
ポイントガードは、チームの司令塔としてオフェンスの流れをコントロールする重要な役割を担います。
単なるパス役ではなく、試合全体のリズムを作り、適切なプレーを選択する必要があります。
ゲームメイクの基本(ペースのコントロール、セットオフェンスの開始)
ゲームメイクの基本は、以下になります。
試合のペースをコントロールする
- 速攻を出すべきか、ゆっくりセットオフェンスを組み立てるべきかを判断
- チームの体力や相手のディフェンスの強さに応じて調整
セットオフェンスの開始
- コート上のプレイヤーの配置を確認し、意図したプレーを指示
- コーチの指示を理解しながら、試合の流れに合わせて柔軟に対応
ピック&ロールの活用
基本の動きは以下になります。
- ビッグマン(センターまたはパワーフォワード)にスクリーンを要求
- スクリーンを利用してディフェンダーを抜き去り、パス or ドライブ
- ロールするビッグマンへパスを供給する
状況 | 選択すべきアクション |
---|---|
ディフェンダーがスイッチ | スイッチしたディフェンダーが遅ければ即ドライブ |
ディフェンダーが引く | ミドルレンジorスリーポイントシュート |
ロールマンが空いた | ロールマンにパス |
コーナーの選手が空く | シュート精度の高い選手へキックアウト |
速攻(ファストブレイク)の判断
速攻を仕掛ける場合
- 相手が戻りきる前に速攻を仕掛ける
- 味方が走っているか、数的有利かを判断
速攻を止める場合
- 相手のディフェンスが揃っていれば、無理をせずセットオフェンスへ移行
スペーシングの確保とオフボールの動き
適切な位置取り
- 味方選手と距離を取り、スペースを作る
- 相手ディフェンスを引きつける動き
オフボール時の動き
- コーナーやウィングに移動し、パスを受ける準備をする
- 相手ディフェンスを乱すカッティングを活用
相手ディフェンスの弱点を突く動き
ディフェンスの弱い選手を狙う
- 相手のミスマッチを利用し、ディフェンスの弱い選手を攻める
ゾーンディフェンスを崩す
- 3Pシュートやカットインでディフェンスを広げる
- ハイポストを活用し、ボールを回す
ハーフコートオフェンスでのセットプレーの指示
チームの戦術に応じた指示
- オフェンスフォーメーションの選択(1-4セット、ホーンズセットなど)
- プレイヤーの配置を確認し、適切なプレーを選択
ディフェンス時の戦術
ポイントガードはディフェンスにおいても、相手ガードへのプレッシャーをかけ、パスカットやチームディフェンスを指示する重要な役割を担います。
相手ポイントガードへのプレッシャーのかけ方
ボールプレッシャーをかける
相手ガードに対して高い位置からプレッシャーをかけ、ボール運びを難しくする
ボールハンドリングが苦手な選手には積極的にディフェンスを仕掛ける
パスカットやスティールを狙うポジショニング
パスラインを予測する
相手のパスの意図を読んでカットを狙う
無理なスティールは避け、確実に狙える場面で仕掛ける
チームディフェンスのコーディネート(ヘルプの指示、ローテーション)
ヘルプディフェンスの意識
味方が抜かれた時にカバーに入る
ローテーションを素早く指示し、ディフェンスの穴を作らない
トランジションディフェンス(速攻を防ぐための動き)
速攻阻止の基本
シュート後、すぐに戻る意識を徹底
相手の速攻を止めるため、センターライン付近で牽制する
速攻の起点となる相手選手へのマークを徹底
状況 | すべき対応 |
シュートが外れた瞬間 | すぐにリバウンドへ行く or セーフティポジションに戻る |
相手が速攻を仕掛ける | 一番先頭の選手を止める、遅らせる |
相手のガードが速い | トラップディフェンスを仕掛ける |
まとめ
ポイントガードは、単なるボール運び役ではなく、チームの勝敗を左右する司令塔です。
試合の流れを読み、味方を活かしながら適切な判断を下すことが求められます。
オフェンスでは、ペースをコントロールしながらチームの得点チャンスを生み出し、ディフェンスでは、相手の攻撃を封じるためのプレッシャーをかけるなど、幅広い役割を担っています。
「ポイントガードを極めたい!」という人は、ゲームメイクの力、視野の広さ、ボールハンドリング、リーダーシップを重点的に鍛えていくことが重要です。
また、ポイントガードの動きを知ることで、試合観戦がさらに面白くなるはずです。
ぜひ、今回、学んだ知識をプレーや観戦に活かしてみてください!